若者のおもい

同じ部署の若者が、上司に異議を唱えていた。


評価制度の不備に関する話だった。率直な気持ちを伝えてはいるのだけど、自分のなかで違和感や不満が発生しているポイントをきちんと特定できていない。そのせいで、上司ののらりくらりとした対応にいなされてしまっている。


うちの会社の評価制度がまともに機能していないというのは、正しい。
僕も毎度「これマジで意味ねえな」と思っているところではあるのだけど、個人的には評価制度は死んでてもらったほうが楽ができると思い、そのまま従っていた。ぬるま湯に浸かっていたいのだ。慣れきったこの水温を自分で上げ下げしようなんて到底思えない。

ただ、明らかに正しい主張をしようとしている若者が「小僧がなんぞ囀っとるわい」で片付けられてしまうのは忍びない。僕はちゃんとしていないが、ちゃんとしている人はそのぶん評価されてほしいと思う。かれの思うところと問題の根っこのところを正確に、伝わりやすく、上司に翻訳してあげた。

評価制度がまともになってしまうのが本当にいやだ。ことによっては、頑張らなければならなくなるかもしれない。苦い顔をしながら、現状の制度の不備をひとつずつ指摘していく。頑張りたい若者は報われてほしい。僕は絶対に頑張りたくない。たのむから何も変わらないで、そのままの駄目な会社でいれくれ。


ああ、若者の思いを整理した僕の言葉で、上司が納得してしまった。改善策を考えるという。勘弁してください。